平成30年7月豪雨災害で発生した廃棄物の処理について

宇和島市大浦に廃棄物仮置場を設置

平成30年7月豪雨災害廃棄物処理 仮置き場

浅田組では、宇和島市からの業務委託により、平成30年7月の豪雨災害で発生した廃棄物の仮置き場を設置。ここでは、災害廃棄物の破砕や選別といった中間処理等を行ない、可能な限り再資源化を行ないました。

惨状を物語る大量の廃棄物

大量の廃棄物

豪雨災害の惨状を物語る、見渡す限りの大量の廃棄物。
約2年をかけて処理した廃棄物の総量は50,000トンを超えました。

地域とともに

廃棄物仮置場

廃棄物仮置場は宇和島市大浦の住宅地に隣接しており、近くには小学校も。
廃棄物の持込・搬出のために、大小のダンプトラックが行き交う状況であり、交通事故には細心の注意をはらいました。また、砂ぼこりや道路の汚れ、ダンプトラックや建設機械の騒音など、住民の皆様にかかる負担を最小限に食い止めるためのあらゆる対策を行ないました。

皆様のご理解とご協力に
『ありがとうございました』

細心の注意をはらったといっても、人やテクノロジーのちからではどうにもならない部分はありました。しかし、近隣の皆様の寛大なご理解とご協力のもとに、2020年5月、廃棄物仮置場はその役目を終えました。
本当に本当に、ありがとうございました。

廃棄物仮置場で稼働した主な機械

マクロスキー KOMPAQ

マクロスキー KOMPAQ

自走式振動スクリーン(土質系ふるい機)

コンパクトな車体に、大型スクリーンボックス、
クラス唯一の3選別機構車両。

油圧シリンダで材料の特性に応じたスクリーン角度が調整でき、さまざまな現場条件に対応できる3選別機構です。

油圧式ターンテーブルにより、ホッパが90度旋回可能なため、現場レイアウトに合わせた配置が自在に行なえます。

主な用途

コンクリートガラの選別、建設残土の選別、廃アスコンの選別、グランド土の選別、山砂・川砂の選別

キャタピラー 320E + 各種アタッチメント

キャタピラー 320E

油圧ショベル

一般的にショベルと言えば、アームの先端にバケットが付いていて、土砂をすくい上げる機械だと認知されていると思います。しかし実は、先端のバケット部分を各種アタッチメントに交換することによって、多彩な性能を発揮するスグレモノなのです。

廃棄物混じり土砂選別機

廃棄物混じり土砂選別機

コンクリートがら破砕機

コンクリートがら破砕機

がれき類破砕機

がれき類破砕機

豪雨災害による被災状況と発生した災害廃棄物の処理方針等

平成30年7月豪雨災害では、宇和島市において計1,767戸の住宅被害が発生。推計で約52,650tの災害廃棄物が発生するとされ、復旧に向けて迅速な処理が必要でした。本仮置き場では、2年以内に処理を終了し、資源の再利用率が90%以上となることを目標としました。

被災の状況

宇和島市の住宅被害

全壊棟数 大規模半壊棟数 半壊棟数 一部損壊 合計
61戸 116戸 803戸 787戸 1,767戸

令和元年6月30日現在

被災した家屋(吉田町内)

  • 吉田町内の被災した家屋

被災廃棄物の発生量

災害廃棄物の発生推計量は、合計約52,650tです(令和元年8月31日現在)。

種類別発生量(単位:トン)

木くず 可燃物 不燃物 金属類 コンクリート
がら
廃瓦 混合
廃棄物
廃家電 廃棄物
混り土砂
廃石膏
ボード
合計
7,000 700 200 500 10,800 400 500 50 32,300 200 52,650

過去の大規模災害における災害廃棄物の発生量

災害名 発生年月 災害廃棄物量 倒壊家屋数 処理期間
阪神・淡路大震災 平成7年1月 1,450万トン 全壊:104,906
半壊:144,274
一部損壊:390,506
焼失:7,534
約3年
新潟県中越地震 平成16年10月 60万トン 全壊:3,175
半壊:13,810
一部損壊:103,854
約3年
東日本大震災 平成23年3月 3,100万トン
(津波堆積物1,100万トン含む)
全壊:118,822
半壊:184,615
約3年
(福島県を除く)
平成28年熊本地震 平成28年4月 311万トン 全壊:8,668
半壊:34,720
一部損壊:162,562
約2年
平成30年豪雨災害
(宇和島市のみ)
平成30年7月 52,650トン 全壊:61
大規模半壊:115
半壊:803
一部損傷:787
約2年

処理方針

  • 処理期間:発災後約2年以内の処理終了を目標としました。
  • 処理方法:可能な限り再生利用と減量化に努め、再利用率90%以上を目標としました。

業務の委託

  • 市が行なう業務:解体工事および被災地から仮置き場に持ち込まれた廃棄物の処理および処分。

災害廃棄物処理までの流れ

災害等の発生
災害廃棄物の発生
自治体(宇和島市役所)
廃棄物処理受託者選定
公費による家屋解体受付
被災家屋解体業者選定
被災現場解体業者
被災家屋解体及び廃材運搬
仮置き場(株)浅田組
廃棄物の分別及び処理
処理業者へ運搬処理

大浦仮置き場見取り図

仮置き場では災害廃棄物を種類ごとに受け入れ、仮置き後分別、破砕、選別等の中間処理を行ない、処分先へ搬出。

大浦仮置き場見取り図

仮置き場における処理の概要

災害廃棄物は、処理方法が異なる複数の品目が複雑に入り混じっています。これらを破砕・選別し、異物除去を行ない、適切な処理を通じて再資源化します。また、仮置き場近隣に配慮した、環境保全対策も十分に行ないました。

仮置き場で処理する災害廃棄物の種類と処理方法

品目 予定処理量※ 処理方法等 主な処理先(再生利用方法等)
木くず 約7,000トン 仮置き,異物除去,破砕 県内の破砕施設(サーマルリサイクル)
可燃物 約700トン 仮置き,異物除去 宇和島市焼却施設および県内の焼却施設
(サーマルリサイクル)
不燃物 約200トン 仮置き,異物除去 県内の安定型最終処分場(埋立)
金属類 約500トン 仮置き,異物除去 県内のリサイクル施設(金属原料)
コンクリートがら 約10,800トン 仮置き,異物除去,破砕 県内の破砕施設(土木資材)
廃瓦 約400トン 仮置き,異物除去,破砕 県外のセメント会社(セメント原料)
混合廃棄物 約400トン 仮置き,異物除去 県内の管理型最終処分場(埋立)
廃家電 約50トン 仮置き 県内のリサイクル施設(金属原料)
廃棄物混り土砂 約32,300トン 仮置き,異物除去 県外のセメント会社(セメント原料)
廃石膏ボード 約200トン 仮置き,異物除去 県外の破砕施設(石膏ボード原料)

※2019年8月31日現在

仮置き場での環境保全対策

項目 対策の内容
粉じん対策
  • 随時、周辺道路および仮置き場内の散水実施。
  • 運搬車両の洗輪実施。
  • 風向・風速計を設置し、強風時には作業を中断又は中止。
騒音・振動対策
  • 仮囲いを設置し、騒音の影響を減衰。
  • 騒音振動計測器を設置し、異常値がないかを常に監視。
  • 近隣民家からできるだけ離れた箇所で、破砕作業を実施。
悪臭対策
  • 近隣民家からできるだけ離れた箇所に可燃混合物の置き場を設置。
  • 必要に応じて防臭剤,防虫および殺虫剤を散布。
交通安全対策
  • 通勤通学時間帯に配慮し、混雑時を避けて通勤,搬出することで渋滞緩和。
    交通事故の防止にも寄与。
  • 交通誘導員を配置して接触事故を未然に防ぐとともに、関係者以外の人の立ち入りを制限する。
環境モニタリング
  • 定期的に環境影響調査を実施し、悪影響がないかを監視。
  • 散水作業
    散水作業
  • 散水作業
    散水作業
  • 仮囲いの設置
    仮囲いの設置
  • 交通誘導員配置
    交通誘導員配置
  • 環境モニタリング機器設置および測定状況
    環境モニタリング機器設置および測定状況

仮置き場での処理フロー

仮置き場における災害廃棄物の種類別処理フローは以下のとおりです。

コンクリートがら

  • 仮置き保管
    仮置き保管
  • 粗破砕
    粗破砕
  • 搬 出
    搬出

廃瓦

  • 仮置き保管
    仮置き保管
  • 破砕(20mm以下)
    破砕(20mm以下)
  • 搬出
    搬出

木くず

  • 受け入れ、仮置き保管
    受け入れ、仮置き保管
  • 粗破砕
    粗破砕
  • 搬出
    搬出

廃棄物混り土砂

  • 仮置き後選別
    仮置き後選別
  • 選別(40mm以上100mm以下)
    選別(40mm以上100mm以下)
  • 手選別によりゴミや木片等異物除去
    手選別によりゴミや木片等異物除去
  • 手選別によりゴミや木片等異物除去
    手選別によりゴミや木片等異物除去
  • 40mm以下と40mm以上100mm以下を混合
    40mm以下と
    40mm以上100mm以下を混合
  • 搬出
    搬出
  • 仮置き後選別

    仮置き後選別

    ※選別(40mm以下)のものは【A】へ

  • 選別(40mm以上100mm以下)

    選別(40mm以上100mm以下)

  • 手選別によりゴミや木片等異物除去

    手選別によりゴミや木片等異物除去

    ※異物除去後【B】へ

  • 【A】手選別によりゴミや木片等異物除去

    【A】
    手選別によりゴミや木片等異物除去

  • 【B】40mm以下と40mm以上100mm以下を混合

    【B】
    40mm以下と
    40mm以上100mm以下を混合

  • 搬出
    搬出

仮置き場施設について

施設名称 平成30年7月豪雨災害
廃棄物大浦仮置き場(現在は閉鎖)
所在地 愛媛県宇和島市大浦甲4番48号
敷地面積 約 20,000m2
処理受託者 株式会社 浅田組(プロポーザル方式)
事業期間 平成30年10月30日から
令和2年5月31日まで
廃棄物処理量 約50,000トン(最終)
リサイクル率 90%以上達成

仮置き場の所在地

〒798-0002 愛媛県宇和島市大浦甲4番48号

お問い合わせ先

業務委託受注者 企業情報

株式会社 浅田組

株式会社 浅田組

〒798-0084 愛媛県宇和島市寄松甲154番地
TEL : 0895-22-0057
FAX : 0895-22-0045
E-mail : info@asadagumi.co.jp
https://www.asadagumi.co.jp/